彼の多彩な画風と人生の軌跡を深く感じられる素晴らしい展示でした。特に印象的だったのは、彼の代表作である「乳白色の肌」を持つ裸婦画や、戦争画、宗教画など、時代ごとに変遷する作風の幅広さです。彼がエコール・ド・パリの中心人物として活躍した時代の作品は、繊細な描線と独特の色彩感覚が際立ち、観る者を魅了します。

また、彼が中南米や中国を旅した際に描いた作品では、鮮やかな色彩と異国情緒が溢れ、彼の探求心と創造力の豊かさを感じました。晩年にキリスト教に帰依した後の宗教画も、深い精神性と静謐さが印象的で、彼の人生観の変化を垣間見ることができます。

展示全体を通して、藤田嗣治という画家の多面的な魅力と、彼が生きた時代の文化的背景を深く理解することができました。彼の作品を通じて、東洋と西洋の融合や、芸術家としての挑戦と葛藤を感じることができる、非常に充実した展覧会でした。