長年藤田嗣治のファンで、藤田の展覧会にはできるかぎり足を運んでいますが、今回の展覧会は作品数が多く、藤田の世界を堪能することができました。藤田の「７つの情熱」という趣旨で、作品が年代にあまありこだわらずテーマごとにまとまっていたのも、それぞれの美に浸れてよかったです。乳白色の裸婦像が、意外に色数も色のトーンも抑えて墨絵のように表現されていることに改めて気づきました。パリではセンセーショナルだっただろうなと想像しました。
　美女と猫と子供をこよなく愛していた画家だったのだな、と感慨にふけりました。
　会場が何階にも分かれていて、階段を下りて移動するのですが、かなり急な階段で、若くて健康な人にはいいけれど、脚が悪い人やお年寄りには鑑賞も大変だったと思います。美術館のウェブサイトでは、アクセス方法としてバリアフリー経路を親切に表示しているのに、美術館にはバリアフリー感はなく、車椅子の人や歩行器を使う人が来たらどうするんだろうと疑問に思いました。階段に猫の絵の切り抜きがさりげなく配置されているのはよかったけれど、力を入れるところがずれてないでしょうか。
　お手洗いの個室に便座クリーナーが備わっていないのも今時珍しいと思いました。気になる人は何か持参していくといいですよ。