冷たい北欧や北極圏の海の生物、温かい赤道帯や中南米の地域など世界各地の海に住む生物を学術的な説明文もあわせた展示になっている。言ってみれば地球上の海が知れるのではないだろうか。
　特筆すべきは生物の説明ばかりではなく、説明文に添えられた「水温」である。哺乳類以外の海洋生物は恒温動物ではないため、生きられる「水温」がある。この水温が変化することで、その海域にいたそれまでの生物が絶え、代わりに住む生物が出る。地球の環境変化は私たち人が立つ地上の気温ばかりではなく、水温にも当然変化があり、生物の入れ替わりがあるということを知らねばならないと思う。
　それを大局的に説明する最も重要な、そして価値のある説明パネルだと感じた。葛西臨海水族園の学芸員の方は、小さくてかわいいや悠々と泳ぐ姿ばかりではなく、人類に突き付けられた事実をさりげない水温という強いメッセージをもって精一杯説明している、その意気込みを感じる水族園であった。