先日「ラムセス大王展」に行ってきました。感想を一言でまとめるなら「とにかくおすすめ」です。古代エジプトに少しでも興味がある人はもちろん、これまであまり触れてこなかった人でも、きっと心に残る体験になると思います。

展示は見どころが多く、一つ一つをじっくり味わいながら回ると、気づけば3時間ほど経っていました。それほど内容が充実しており、展示品のひとつひとつが語りかけてくるような迫力があります。特に印象に残ったのは、動物のミイラです。神への捧げ物として残された猫やワニなどのミイラは、単なる標本という以上の存在感を放っており、当時の人々の信仰の深さを強く感じさせてくれました。思わず息をのむほどの迫力があり、展示室全体が神聖な空気に包まれているようでした。

この展覧会をきっかけに、私はエジプト神話についてもっと学びたいと思うようになりました。展示品や解説を通して、イシス、ホルス、アヌビスといった神々がどのような役割を担い、人々の暮らしや死生観に深く関わっていたのかが少しずつ理解できました。物語や信仰の背景を知ると、展示物に込められた意味がぐっと奥行きを増し、ただ「古い美術品を見る」という体験を超えた学びが得られます。

もちろん、ラムセス2世についての理解も大きく深まりました。戦や外交で国を守り繁栄させたこと、また数々の神殿や記念碑を残したことなど、「建設王」と呼ばれるにふさわしい偉業を実感できます。展示されている壮大な彫刻や装飾は、その権力と信仰の象徴であり、古代の人々にとってどれほど大きな存在だったのかが伝わってきました。

さらに魅力的だったのがVR体験です。アブシンベル神殿を実際に訪れているかのようなリアルな映像で、巨大なファラオ像の前に立ったときには、古代エジプト人が感じた畏敬の念をほんの少し共有できた気がしました。歴史を学ぶだけでなく、まるで時空を超えて体験できるこの仕掛けは、展覧会のハイライトのひとつだと思います。

また、今回は会期が延長されていたこともあり、比較的空いている中で落ち着いて鑑賞できました。混雑を気にせずじっくり作品と向き合える環境はとてもありがたく、展示品の細部までしっかり堪能できました。

「ラムセス大王展」は、歴史的な知識を深めたい人、圧倒的な展示品に心を揺さぶられたい人、最新技術による没入体験を楽しみたい人、どんな目的でも満足できる内容でした。古代エジプト文明の魅力を一度に味わえる機会はそう多くはありません。この展覧会は、まさに「行ってよかった」と心から言えるものでした。ぜひ多くの人に体験してほしいと思います。