久しぶりにゴッホ展を訪れた。思えば、前に観たのは2019年、上野の森美術館での開催だっただろうか。あの時も鮮烈な印象を受けたが、今回もまた、彼の色彩と筆致が心を揺さぶった。

展示室で初めて目にした自画像は、青みを帯びた陰りのある色調で、どこか不吉な気配を感じさせた。その後に続くアルル時代の作品では一転、明るく軽やかな色使いが広がっており、心が晴れるようだった。しかし、そんな光の時代のあと、わずか数年で彼がこの世を去ったことを思うと、胸が締めつけられる。

また、弟テオが献身的に支えたことは知っていたが、その妻ヨーが遺作を守り、ゴッホの価値を世に広めたことを今回初めて知った。彼の名が今も世界中で輝くのは、彼女の努力の賜物なのだろう。

最後に体験したイマーシブシアターでは、絵の中に入り込むような不思議な感覚に包まれた。色と光が音楽とともに広がり、まるでゴッホの心の奥底を覗いているようだった。

またいつか、別の地で彼の作品に再会できる日を楽しみにしたい。