Y さま

Yさまの口コミ

5 / 5素晴らしい!

親の還暦祝いで沖縄に来ました。
最初にそのの話が出たときは、正直面倒だと思いました。
でも親のためですし、行かない選択肢もないので、休みを調整して、子供二人を連れて、なんとか予定を合わせました。
弟の嫁が全部スケジュールを決めてくれて、ありがたい気持ちもありましたが、正直言って詰め込みすぎでした。
朝から晩まで動きっぱなしで、最初から疲れていました。

それでも、この旅行の中で一つだけ、本当に楽しみにしていたのがダイビングでした。
親が計画段階で「子供たちは見ておくから、行っておいで」と言ってくれたとき、ああ、やっと二人きりで羽を伸ばせるんだ、潜れるんだと思いました。
人生で一度もやったことないので、子供が生まれてからはなおさら夫婦で海に潜るなんて無理だと諦めていたので、本当に嬉しかったです。
その日を励みに、ずっと頑張ってきました。

当日の朝は、天気も良くて、海もきれいで、嫁も嬉しそうで。本当に、今日がその日なんだと思いました。
器材を準備して、いざ説明があるのでサインをというところで、スタッフが嫁の申込書を見て言いました。
「てんかんをお持ちの方はご参加できません」と。

一瞬、何を言われたのか理解できませんでした。
「医師の診断書があっても無理です」と言われた瞬間、頭が真っ白になりました。
ああ、終わったんだなと思いました。
正直、嫁はいま34になる歳で、中1に発作起きてからは何も発作みたいなのは起きてなくて、いま2歳と1歳になる年子の子供を産んでるくらいなので全く気にしておらず、気にしてなかった私が全部悪いんですが、正直そう言われた瞬間、目の前の現実を受け止められませんでした。
何週間も楽しみにしていたのに、一言で全部なくなりました。
スタッフは正しいことを言っているのだと思います。
でも、その正しさが、あのときは刃みたいに感じました。

帰りの車の中で、嫁が泣いていましたし、正直マジで離婚したほうが的な話まで行きました。結婚する前〜した後もふくめて、離婚するしないの話はマジで初めてで、今度はこっちが泣きながら土下座しました。

慰める言葉なんて出てきませんでした。
自分でもどうしていいかわからなくて、ただ無言で。返金不可って言われましたがそんなお金で解決できる問題なら良かったです。
ただ、あの時間を失ったことが苦しくて仕方ありませんでした。

親に子供を預けている時間なので、すぐには帰れませんでした。
どこにも行けず、何もできず、車の中で時間だけが過ぎていきました。
夫婦で潜るはずだった時間が、ただの空白になりました。
その空白が、今もずっと胸の中に残っています。

沖縄から帰ってきてから、沖縄の話を家で一度もしていません。
写真を見返すこともできません。
あの海の青を見ると、あの時のことが一瞬で蘇ります。
嫁も悪くない、スタッフも悪くない、誰も責められない。
それでも、あの日からずっと、心のどこかで時間が止まったままです。

親の還暦祝いの旅行だったはずなのに、
自分の中では「ダイビングができなかった旅行」になってしまいました。
他の思い出もあるはずなのに、全部かすんでしまっています。
あの日の朝だけは、本当に嬉しかったです。
あの気持ちを思い出すと、今でも涙が出そうになります。
もう一生、あの日のワクワクは戻ってこないと思いました。
それが一番、悲しいです。

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