ユトリロの良作がまとまって見られる点だけ見ればもっと高い評価をつけて良い。
問題は展示にあり、順路通りに見ると解説が作品より後にあるため何を見せられていたのか分からず右往左往している人がいて、動線が悪い。
とりわけ各年代毎の作風の変遷を同じ画題の作品から見るとのコンセプトで解説がなされていたコーナーでは、解説で言及されたのがどの作品か、振り返っても分からないような形で紹介されていたので不満が強く残った。
また音声ガイドの15と17が隣り合って置かれ、16は別の壁面に展示されているなど、意図がつかめない配置がしばしば見られる。
また、後年ユトリロの作品に見られる臀部の大きな女性が、ユトリロのミソジニーの象徴と言われるなどと言及される一方で、その根源的原因となったと思われる母との関係は愛情といった文脈で語るなど、どうにもチグハグな印象を受ける。
総じて作品は良いが展示方法やキュレーターに改善すべき点が多く見られる。
また、スタッフに関しては丁寧なのは良いが、チケットやミュージアムショップの回転が悪いので改善を求めたい。