もも さま

ももさまの口コミ

5 / 5素晴らしい!

富嶽三十六景、現物を初めて見ました。
一つ一つの線の精巧さ、浮世絵の良さを最大限に活かした思い切った色使い、透視法という学びを取り入れた真新しさ。

北斎漫画というものがあることも今回の展覧会で初めて知ったのですが、現代の漫画に通じる線の強弱・色の濃淡を駆使した表現力がただただすごい。岩が爆発して人?が飛び出てくるシーンを描いたものは本当は現代の誰かが書いたんじゃないかと思うほどでした。
ユニークな表情の漫画もよかった。北斎の観察力、表現力を富嶽三十六景以外の視点で感じられたのもこの展覧会にきた甲斐がありました。

もう一つ北斎のすごいところは、その想像力だと思います。
江戸から大阪を眺めた東海道俯瞰図、現代のように飛行機から眺めたわけでもないのに(おそらく)正確に地形・地理を表現しています。ただの地図ではなく、よく見たら人が歩いていく姿(黒い線ですが)も俯瞰図に描かれていて遊び心も忘れず、ほんとこのおじいさんはとんでもない人だったんだなと思わずにはいられませんでした。

広重が北斎の姿を追うように絵を描いていたことも初めて知りました。北斎を背中を追う中で、広重独自の優しい雰囲気の繊細さが感じられ、北斎とはまた違った趣きがあって素晴らしかったです。
美術について詳しいことはわかりませんが、稀代の天才神絵師・北斎、努力する天才・広重、私はそんな印象を受けました。
とても勉強になりました。楽しかったです。

特別展「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」東京都江戸東京博物館の新着口コミ