池袋のサンシャインシティにある古代オリエント博物館は、2025年度の年間展示スケジュールを発表しました。一年を通して、古代オリエントの多様な文化や歴史に触れることができる魅力的な企画が満載です。夏と秋に開催される特別展の詳細は、会期が近づき次第改めて案内があるとのこと。今回は、発表された年間スケジュールを詳しくご紹介します。
春は古代オリエントの世界へ!館蔵品展「タイムスリップ!古代オリエントの世界」
2025年4月1日(火)から6月29日(日)まで開催されるのは、館蔵品展「タイムスリップ!古代オリエントの世界」です。「シリアの発掘」「最古のオリエント」「古代メソポタミア」「古代エジプトの文化」「イラン高原の文化」「東西文化の交流」といったテーマで、古代オリエントの世界を分かりやすく紹介します。映像や体験コーナーも用意されており、見て、触って、古代の世界を体感できるでしょう。さらに、研究員がテーマを決めて展示資料を詳しく解説する見どころトークも人気を集めそうです。
ゴールデンウィークは見て、触って、楽しむ!「オリ博スペシャルウィーク」開催
毎年恒例のGW特別企画「オリ博スペシャルウィーク さわってたのしむ!おもしろオリエント」が、2025年4月26日(土)から5月6日(火・振)まで開催されます。古代のハンコ(レプリカ)を押す体験や古代衣装体験など、子どもから大人まで楽しめる体験が盛りだくさん!見るだけでなく、実際に触れることで、古代オリエントの歴史文化をより身近に感じられるはずです。
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夏の特別展は古代ガラスの輝きと子ども向けミュージアムで満喫
2025年7月12日(土)から9月7日(日)までは、夏の特別展「THE ANCIENT GLASS~古代ガラスの3つの軌跡~」と「古代オリエントを楽しむ!子どもミュージアム」が同時開催されます。
「THE ANCIENT GLASS~古代ガラスの3つの軌跡~」:東西を結ぶガラスの歴史
4000年以上前に古代西アジアで生まれたガラスは、交易を通じて東西の地域に広がり、人々の生活を豊かにしてきました。「古代地中海世界」「古代オリエント世界」「東アジア世界」の3つのパートに分け、古代の職人たちが技巧を凝らして作り上げたガラスの歴史的な軌跡を紹介します。平山郁夫シルクロード美術館所蔵のゴールドバンド装飾瓶も展示される予定です。期間中には、講演会やガラス装身具づくりワークショップも企画されています。
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「古代オリエントを楽しむ!子どもミュージアム」:見て、触って、作って古代を体験
いつもの館蔵品展を「くらし」「文字」「神さま」「うつわ」といったテーマで見ていく「古代オリエントを楽しむ!子どもミュージアム」。お子さまにも分かりやすく楽しめるよう、各テーマで古代の石器に触れたり、古代エジプトのミイラ作りを一部体験できるコーナーなど、さまざまな体験が用意されています。8月中は、オーブン粘土を使ったとんぼ玉作り体験も開催予定です。
秋はエジプト愛が炸裂!特別展「やっぱりエジプトが好き♡-昭和のニッポンと古代のエジプト-」
2025年9月27日(土)から11月24日(月・祝)までは、秋の特別展「やっぱりエジプトが好き♡-昭和のニッポンと古代のエジプト-」が開催されます。北名古屋市歴史民俗資料館のコレクションを中心に、昭和30~40年代の日本におけるエジプト柄ブームを辿ります。当時のエジプト柄の特徴や傾向、素材などを分析し、日本人の「好み」について、その思想体系や社会情勢、歴史的背景に基づいて考察するという、ユニークな視点の展示です。栓抜き(女神像)など、当時の流行を反映した興味深い資料に出会えそうです。
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新春は干支の展示で幕開け!「干支展示:午(うま)」
2026年1月4日(日)から2月3日(火)までは、新春コーナー展示として「干支展示:午(うま)」が開催されます。2026年の干支である「午(うま)」にちなみ、博物館が所蔵する馬をモチーフとした品々や解説パネルが展示される予定です。新年の始まりに、ちょっとした楽しみを見つけてみてはいかがでしょうか。
2026年初春はメソポタミアの都市遺跡へ。「キシュ:メソポタミアの都市遺跡を探る」
2026年2月14日(土)から3月29日(日)までは、クローズアップ展「キシュ:メソポタミアの都市遺跡を探る」が開催されます。メソポタミア文明で最初の王権が樹立されたと伝えられるイラク中部の都市遺跡キシュについて、国士舘大学イラク古代文化研究所による1980年代の調査を中心に、パネルや模型を使って紹介します。発掘風景の写真なども展示される予定です。なお、クローズアップ展は、館蔵品の展示スペースを縮小して展開されるとのことです。
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古代オリエント博物館とは?日本初の専門博物館の歴史と魅力
古代オリエント博物館は、西アジア・エジプト地域の古代文明を研究・調査し、紹介する日本で最初の古代オリエント専門の博物館です。「オリエント」とは、ローマから見た東側という意味を持ちます。博物館の入口にある施設名は、作家の井上靖氏によるものです。
博物館は、サンシャインシティのグランドオープンと同日の1978年10月5日に開館しました。その設立のきっかけは、1973年5月に株式会社新都市開発センター(現サンシャインシティ)の会長であった今里廣記氏が、井上靖氏、江上波夫氏(東大名誉教授)、平山郁夫氏(画家)らと中近東の古代オリエント遺跡を訪れた旅でした。「日本にも世界最古の文明やシルクロードを紹介する博物館を」という構想が、多くの文化人、財界人、考古学者、美術史研究者たちの発起により実現しました。発起人には、平山郁夫氏夫妻、井上靖氏、今里廣記氏、江上波夫氏のほか、三笠宮崇仁親王殿下、谷川徹三氏(哲学者)、松本清張氏(作家)など、オリエント文化に深い関心を持つ人々が名を連ねています。
館長は生え抜きの研究員!津村眞輝子館長の紹介
現在の館長である津村眞輝子氏は、1991年7月に古代オリエント博物館の研究部に配属されて以来、西アジアおよび中央アジアの東西交流、特にコインの研究調査を専門としてきました。研究部長などを経て、2024年6月には開館以来初めて生え抜きの研究員として六代目館長に就任しました。実は、サンシャインシティと同時に開業した1978年当時に博物館を訪れており、現在も展示されている東大寺正倉院の白瑠璃椀と同じタイプのメソポタミアのカットガラス碗を見て感動したという思い出を持っています。
おでかけ前にチェック!博物館の基本情報
●所在地:東京都豊島区東池袋3-1-4 サンシャインシティ 文化会館ビル7階
●営業時間:10:00~17:00(最終入場は16:30)
●問合せ先:古代オリエント博物館 03-3989-3491 https://aom-tokyo.com/
●入館料:展覧会により異なります
状況により、内容・スケジュール・営業時間が変更になる場合がございます。お出かけの際には、事前に博物館のウェブサイト等で最新情報を確認することをおすすめします。
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