台南旅行で「最もフォトジェニックな場所」として名前が挙がる神農街(シェンノンジエ)。
かつては運河の荷揚げで栄えたこの通りは、築100年を超える古民家(老房子)が密集する、台南で最も保存状態の良い清代の街並みの一つです。
昼は細部の建築美をじっくり味わえる静かな散策路、夜はランタンが灯る幻想的な大人の空間へと変貌します。「いつ行くのがベスト?」「どのお店がおしゃれ?」と迷っているあなたへ、この記事では、歴史的背景から最新の「夜パフェ」や「クラフトビール」、そして一歩ディープな「市場グルメ」まで、神農街の魅力を余すところなく徹底解説します。
目次
1. 神農街(シェンノンジエ)とは? 300年の歴史が息づくノスタルジック小路
なぜ「神農街」と呼ばれるのか?
通りの名前は、この道の西の突き当たりに鎮座する「台南薬王廟」に由来します。ここでは医薬と農業の神様・神農氏(薬王大帝)が祀られており、古くから人々の信仰を集めてきました。かつては「北勢街」と呼ばれ、台南の商業の中心地として栄華を極めたエリアです。
「2階の扉」の秘密:五條港の歴史
散策中、ふと建物を見上げると「なぜ2階に扉があるの?」と不思議に思うかもしれません。ベランダや手すりがせり出し、直接外に出られるような構造になっています。
実はこれ、かつてこの通りの裏まで運河(五條港)が流れていた名残なのです。
- 1階: 店舗や住居
- 2階: 倉庫
商船が建物のすぐ裏まで乗り入れ、2階の扉から直接荷物を上げ下ろししていました。この独特な建築様式は、水運で栄えた台南の歴史を今に伝える貴重な遺産です。
2. 【時間帯別】「昼のレトロ」と「夜のランタン」どっちに行く?
神農街は、訪れる時間によって全く異なる表情を見せてくれます。目的別にベストな時間を選びましょう。
昼(13:00〜16:00頃)|建築愛好家・雑貨好き向け
魅力: 建物のディテール観察に最適です。色あせた木の扉、鉄格子の美しいデザイン(鉄花窓)、壁の質感など、レトロな雰囲気を明るい光の中で撮影できます。
注意: 多くのショップやカフェは午後(13時以降)からオープンします。午前中はほとんどの店が閉まっているため、静かな撮影には向いていますが、お店巡りには不向きです。


夜(18:00〜深夜)|カップル・写真好き・お酒好き向け
魅力: 一番のおすすめは夜です。 夕暮れと共に通りのランタンに明かりが灯り、一気に幻想的なムードに包まれます。昼間は閉まっていたバーやビンテージショップもオープンし、活気あふれる大人の夜遊びスポットに変貌します。石畳に反射する赤い光が、台湾ならではの情緒を演出します。


3. 【カフェ&バー】古民家リノベの最前線!映える2選
古い建物の梁や柱をそのまま生かしつつ、モダンな感性を吹き込んだリノベーションカフェ・バーを紹介します。
TAIKOO 太古百貨店
神農街のリノベーションブームの先駆け的存在。築100年以上の古民家(閩南式建築)を大胆に改装したバーです。店内には西洋アンティーク家具や60年代のレトロな雑貨が配置され、ミッドセンチュリーな映画のセットのよう。中庭が見下ろせる2階席は、古民家の構造をじっくり観察できる特等席です。夜はムード満点のバーとして楽しめます。
\メニュー・料金/◎カクテル各種: 250〜350元(フルーツ系やオリジナルカクテルが豊富)
◎ベルギービール: 200元〜(豊富なラインナップ)
| 店名 | TAIKOO 太古百貨店 |
|---|---|
| 住所 | 台南市中西區神農街94號 |
| アクセス | 神農街の中ほど |
| 営業時間 | [月-木] 19:00-02:00 [金] 19:00-03:00 [土] 19:00-03:00 [日] 19:00-02:00 |
| 定休日 | 不定休 |
| 公式サイト |
沃隼釀造 WE Drink Beer Company
「とりあえずビール!」という方におすすめのクラフトビール専門店。コンクリート打ちっぱなしの無機質でモダンな空間は、古都・台南にいることを忘れさせます。台湾の醸造会社直営で、フレッシュな樽生ビールを常時数種類提供。フード持ち込みOKなのも嬉しいポイント(※匂いの強いものは要確認)。
\メニュー・料金/◎テイスティングセット(4種×200ml): 350元(色々な味を少しずつ試せる一番人気メニュー)
◎クラフトビール(グラス): 180元〜
| 店名 | 沃隼釀造 WE Drink Beer Company |
|---|---|
| 住所 | 台南市中西區神農街108號 |
| アクセス | 神農街後半エリア |
| 営業時間 |
[金・土] 16:00-01:00 |
| 定休日 | 無休 |
| 公式サイト |
4. 【ショッピング】台湾メイドの「レトロかわいい」お土産探し
錦源興 (Gimgoanheng)
創業100年の老舗染物屋が、若きオーナーの手によってテキスタイルデザインブランドとして再生。カラスミ、台湾団地、ブルー・ホワイト・スリッパなど、「台湾の日常」をモチーフにしたポップな図案が特徴です。エコバッグや靴下は、実用的かつハイセンスな台南土産として日本のメディアでも度々取り上げられています。
\メニュー・料金/◎トートバッグ: 500〜800元(サイズによる)
◎オリジナル靴下: 200元〜
| 店名 | 錦源興 (Gimgoanheng) |
|---|---|
| 住所 | 台南市中西區中正路209巷3號 |
| アクセス | 神農街から南へ徒歩約10分(西市場近く) |
| 営業時間 | 10:00 - 18:00 |
| 定休日 | 月・火 |
慶餘古物
週末の夜のみひっそりとオープンする、知る人ぞ知るビンテージショップ。日本の昭和レトロな家具、アンティークランプ、古道具などが所狭しと並びます。「なぜ台湾にこれが?」と思うような懐かしい品々に出会える、マニアックな空間です。
| 店名 | 慶餘古物 |
|---|---|
| 住所 | 神農街エリア(詳細は現地で探検!) |
| 営業時間 | 週末の夜のみ 17:30 - 22:30 |
| 定休日 | 月〜金 |
五條港行號(Wutiao Gang)
神農街の入り口すぐにある、台南の歴史文化を発信する拠点。「五條港」の歴史を知ることができる。クリエイティブな台南グッズのセレクトショップとしても優秀で、お土産探しに最適です。
◎ポストカード投函: 購入したカードをその場で書いて出せます
| 店名 | 五條港行號 |
|---|---|
| 住所 | 台南市中西區神農街79號 |
| アクセス | 神農街入り口近く |
| 営業時間 | 9:00 - 21:00(変動あり) |
| 定休日 | 無休 |
5. 【グルメ】神農街の目の前!「水仙宮市場」周辺でローカル飯
神農街の入り口(東側)の目の前には、台南の台所と呼ばれる「水仙宮市場(Shuixian Gong Market)」と「永樂市場」エリアが広がっています。おしゃれなカフェ飯もいいですが、台南に来たならぜひこのエリアで「B級グルメ」を堪能してください。
おすすめ食べ歩きスポット(徒歩1〜3分圏内)
1. 金得春捲(ジンドゥ・チュンジュエン)
キャベツ、豚肉、エビ、豆干などを包んだ春巻き、最後にフライパンで皮の表面を軽く焼くのが特徴。野菜たっぷりでヘルシーながらボリューム満点。
価格: 1個 55元〜
2. 阿松割包(アーソン・グアバオ)
台湾式ハンバーガー「割包」の名店。一般的な角煮ではなく、豚タンや豚皮などの部位を選べ、ピーナッツソースと大根の漬物がアクセント。スープが無料で付いてきます。
価格: 普通包(豚肉) 2個入り 80元〜
3. 富盛號碗粿(フーシェンハオ・ワングオ)
台南名物「碗粿(ワーグイ)」の超有名店。米粉を蒸したプルプルの生地に、肉やエビ、シイタケなどの具材がたっぷり。甘辛い醤油ダレとおろしニンニクでいただきます。
価格: 碗粿 35元
| エリア名 | 水仙宮市場・永樂市場エリア |
|---|---|
| アクセス | 神農街入り口の道路(海安路)を渡ってすぐ |
| おすすめ時間 | 朝8:00〜14:00頃(売り切れ次第終了の店が多い) |
6. 【撮影ガイド】神農街で最高の1枚を撮るには?
神農街はどこを切り取っても絵になりますが、特におすすめの撮影ポイントとコツを伝授します。
薬王廟からの振り返りショット(日没直後)
通りの一番奥にある「薬王廟」の階段付近から入り口方面を振り返ってみてください。一直線に伸びる通りと、頭上に連なるランタンの光が圧縮効果で重なり、「ザ・神農街」という幻想的な奥行きのある写真が撮れます。
狙い目: 空にわずかに青さが残る「マジックアワー(日没後20分間)」がベスト。
古民家の窓枠と自転車(昼間)
昼間は、お店の前に無造作に置かれた自転車や、錆びた鉄格子(鉄花窓)をアップで撮るのがおすすめ。ノスタルジックな雰囲気が強調されます。
お店の軒先ポートレート
多くのお店の入り口には、木製のベンチや観葉植物が置かれています。ここに座って自然なポーズをとると、雑誌の1ページのようなポートレートになります。
7. 【モデルコース】夕暮れのマジックアワーを狙う「神農街満喫プラン」
最も美しい時間帯を効率よく楽しむためのプランです。
「五條港行號」や徒歩圏内の「錦源興」で、明るいうちに台南雑貨をチェック。お土産を先に確保します。
「TAIKOO 太古百貨店」の2階席を確保。窓際から通りの様子を眺め、空の色がオレンジから群青色へ変わっていく様子をビール片手に楽しみます。
完全に日が落ち、ランタンが点灯。通りに出て散策を開始。「薬王廟」まで歩き、振り返りショットを撮影。
甘いものが食べたければ「BELONGINN」で夜カフェ&プリン。がっつり食事なら、近隣の「海安路」沿いの熱炒(台湾式居酒屋)や、開いている屋台でローカル飯へ。
8. 旅の基本情報・注意点
| トイレ事情 | 神農街には公衆トイレがほとんどありません。カフェを利用した際に済ませておくのが鉄則です。または薬王廟のトイレ(寄付制)を利用しましょう。 |
|---|---|
| 支払い方法 | 多くの店で「現金のみ」が多いです。クレジットカードが使えない小規模店が多いので、現金の用意は必須です。 |
| 虫除け対策 | 古民家が多く植栽も豊かなため、特に夏場は蚊が多いです。虫除けスプレーを持参することをおすすめします。 |
| 足元注意 | 清代からの石畳やレンガ道は、場所によっては凹凸があります。ヒールよりも歩きやすいスニーカー推奨です。 |
次の台南旅行は、ぜひ昼と夜の「神農街」を訪れてみてください。
古民家の温かみと、幻想的なランタンの光に包まれる特別な時間が、あなたを待っています。
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