施設全体としては、和の趣を取り入れた落ち着いた造りで、食事処や休憩スペースも備えているため、一日ゆっくりと過ごすには最適な環境が整っているように見えます。私も、心身のリフレッシュを求めて、期待に胸を膨らませて週末の午後に訪問しました。
しかしながら、実際に足を踏み入れて感じたのは、その人気ゆえの「混雑」です。週末ということもあり、玄関を入った瞬間から券売機や下駄箱周辺に人が溢れ、導線が悪く感じられました。脱衣所もロッカーがほとんど埋まっており、なんとか空きを見つけても人との距離が近く、着替えからして落ち着きません。
浴室に入ると、その混雑ぶりはさらに顕著になりました。洗い場は満席で順番待ちが発生しており、運良く空いても隣との間隔は非常にタイト。特に人気の天然温泉の浴槽は、まるで芋洗いの状態で、足を伸ばしてゆったり浸かることなど到底望めませんでした。人が多すぎるため、せっかくの黒湯の良質な泉質も、人のざわめきや活気（あるいは喧騒）にかき消されてしまうかのようです。
サウナも例外ではなく、ドライサウナ、スチームサウナともにほぼ満員。特に、サウナーにとって最も重要な「ととのい」の場である外気浴スペースは、設置されている椅子に対して利用者が多く、空きを待つ行列ができていました。椅子に座れても、周囲の話し声や人の出入りが激しく、静かに内省するような「ととのい」には集中できず、常に周囲の気配を感じながらの休憩となりました。
食事処も夜の時間帯は満席になることが多く、ゆっくりと食事を楽しむのにも苦労しました。総じて、施設自体の設備や温泉の質は素晴らしいものがあるにもかかわらず、週末の「混みすぎ」によって、心からリラックスして羽を伸ばすという目的は達成できませんでした。「温泉に来て、かえって人疲れした」というのが正直な感想です。
大谷田温泉 明神の湯を最大限に楽しむためには、「時間帯選び」が非常に重要だと痛感しました。平日や土日祝の早朝、あるいは深夜料金が適用される遅い時間など、人が集中する時間帯を避けるのが賢明でしょう。良質な温泉を求めて訪れる多くの人々がいるからこその混雑ですが、癒しを求めるならば、この点を考慮して計画を立てることを強くおすすめします。