c3d さま

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タイトル:時代の境界線を走る「空と海の画家」——伝統と革新を併せ持つブーダンの真髄に触れる
SOMPO美術館で開催中の「ユージェーヌ・ブーダン展」に行ってきました。ブーダンといえば「空の王者」と称される瑞々しい海景画のイメージが強いですが、今回の展示では、彼の画家としての「実直な歩み」と「時代の変遷に対する眼差し」が深く胸に刺さりました。
特に印象に残ったポイントをいくつか挙げたいと思います。
 帆船への異常なまでのこだわりと、消えゆくものへの儚さ
彼が愛した帆船の描写はまさに唯一無二。マストやロープ(索具)の一本一本まで緻密に描き込まれたディテールには圧倒されます。だからこそ、時代とともに帆船が蒸気船へと移り変わり、港町が変化していく様子を捉えた作品からは、激動の時代を見つめるブーダンの切なさと、一瞬の儚さがリアルに伝わってきます。
 伝統へのリスペクトと、画材の革新
ロイスダールをはじめとするオランダ絵画への憧憬や、トロワイヨンらバルビゾン派との深い親交が随所に感じられ、構図の丁寧さからは彼が非常に勉強家で真面目な画家であったことが伺えます。その一方で、チューブ入り絵の具やパステルといった当時の最新画材をいち早く使いこなし、屋外で「瞬間」を捉える先駆者となった姿には、まさに“時代の変わり目にブーダンあり”という革新性を感じました。
 「空間の調和」を描く卓越した視点
素描(デッサン)の展示も素晴らしかったです。対象の本質や美しい配置を自らの体感に落とし込むための、彼のこだわりと線の強さを感じました。また、モチーフそのものの美しさというよりは、風景の中に自然に存在する人々や物体の「空間的な調和」や「その瞬間の空気感」を追求している優しさが魅力的です。海景画はもちろん、建物を描いた作品でも、とにかく空と光の表現(特に「月の効果」の美しさ!)が絶品でした。
当時の版画再評価の流れに伴う原画提供など、知らなかった一面にも触れられ、大満足の展示でした。一瞬の空気感を五感で味わいたい方に、心からおすすめしたい展覧会です。

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