鳥獣戯画の全巻＋段巻、更には模写を一堂に会させた関係者の努力に敬意を表する。甲巻に比べてメディア露出が低い乙丙丁巻をじっくり鑑賞出来たし、模倣等から推察した、オリジナル配列の甲巻のパネル展示も大変興味深く鑑賞出来た。
また、甲巻の手前で、パネルを使って見所を丁寧に解説しているので、動く歩道の短時間の中で甲巻の世界観に集中出来るところも素晴しかった。

その動く歩道だが、密対策とは言え、動く歩道にする必要はあったのだろうか？余りにも進みが早く、パネルで予習した名場面を追いかけるのが精一杯で、ヘッドセット解説で言っている、前半後半の紙の違いはかろうじて認識したが、筆致の違いについては、いまいち確証を得られなかった。それくらい、「じっくり鑑賞」とは真逆の方向性の鑑賞の仕方となってしまった。
乙丙丁巻は通常の展示だったが、甲巻に次ぐ人気があると思われる丙巻でもそこまで大混乱にはなっていなかったので、乙丙丁同様に通常展示として、最前列を動かすように声かけし、止って観たい人用には、後に台状スペースを設ける（以前、フェルメールの展覧会で採用されていて、合理的だと思った）、或いは、最前列は動く歩道にして、その後に、停止して観られるスペースを設ける、といった、別の方法を試しても良かったのではないか？
あと、近年の平成館では、どこか一カ所、写真撮影可能展示スペースがあったが、今回はなかったように思う。パネル等でも良いので、そういうスペースがあったら楽しい思い出になっただろう。

なお、グッヅが大変充実していたので、今回惜しくも一緒にこれなかった妻に良いお土産が出来て喜ばれたことは、とても良かった。