アーティゾン美術館が劇的進化!新収蔵品のお披露目展示会『STEPS AHEAD』に大注目!

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企画展『STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示』ハイライト

2021年2月13日〜9月5日まで開催される『STEPS AHEAD』は、ブリヂストン美術館が閉館した2015年以降にコレクションに加えた作品を中心とした、お披露目ともいえる展示会。今回は、未公開の新収蔵作品約90点の中から、今後の展示会でも注目を集めそうな作品をピックアップしてご紹介します。

セクション1:「藤島武二の《東洋振り》と日本、西洋の近代絵画」

『STEPS AHEAD』は、「藤島武二の《東洋振り》と日本、西洋の近代絵画」「キュビスム」「カンディンスキーとクレー」「オーストラリア美術-アボリジナル・アート」など、14のセクションで構成されています。

オープニングを飾るのは、財団創設時よりコレクションの中心となった、印象派以降の西洋近代美術や、青木繁や藤島武二らによる日本近代洋画の黎明期の作品を軸にした「藤島武二の《東洋振り》と日本、西洋の近代絵画」のセクションです。

藤島武二《東洋振り》(1924年)石橋財団アーティゾン美術館蔵

このセクションの見どころは、生前に創設者・石橋正二郎氏とも交流があった、近代洋画家・藤島武二の《東洋振り》。真横から描かれる人物像は西洋の肖像画を思わせますが、描かれているモデルや衣装などは東洋風となっており、エキゾチックな魅力を感じさせます。

セクション2:「キュビズム」


パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックの作品でおなじみの絵画様式「キュビズム」のセクション。20世紀初頭のパリで生まれたアヴァンギャルドな美術表現で、複数の異なる視点を一枚のキャンバス上で構成しているのが特徴です。

ジャン・メッツァンジェ《円卓の上の静物》(1916年)石橋財団アーティゾン美術館蔵

ジャン・メッツァンジェの《円卓の上の静物》は、丸いテーブルの上にマッチやランプシェードなどの静物が描き込まれています。革新的な手法と言われるキュビズムですが、本作は見る者の気持ちを落ち着かせるような、穏やかな色調が印象的です。

 

セクション3:「カンディンスキーとクレー」

「カンディンスキーとクレー」のセクションでは、20世紀初頭に結成された美術グループ「青騎士(ブラウエ・ライター)」の中心的存在である、ヴァシリー・カンディンスキーとパウル・クレーの作品をフィーチャー。

ヴァシリー・カンディンスキー《3本の菩提樹》(1908年)石橋財団アーティゾン美術館蔵


“抽象絵画の父”とも呼ばれるカンディンスキーの《3本の菩提樹》は、この展覧会直前に財団のコレクションに加わった作品。明るい日差しに照らされた色彩と、菩提樹の影が作り出すコントラストがエネルギッシュに描かれています。
 

セクション5:「抽象表現主義の女性画家たちを中心に」

「抽象表現主義の女性画家たちを中心に」のセクション。美術界で関心が高まりつつある、抽象表現主義の女性画家の中から、エレイン・デ・クーニング、ヘレン・フランケンサーラー、リー・クラズナー、ジョアン・ミッチェルらの作品を展示しています。

エレイン・デ・クーニング《無題(闘牛)》(1959年)石橋財団アーティゾン美術館蔵 ©Elaine de Kooning Trust

本展覧会のメインビジュアルにもなった《無題(闘牛)》は、アメリカ抽象表現主義の巨匠、ウィレム・デ・クーニングの夫人で、美術評論家としても活躍していたエレイン・デ・クーニングの作品。鮮烈な色彩は、教師として訪れたニューメキシコ州の風景からインスパイアされたと考えられています。

このセクションでは、戦後のアメリカ画壇に大きな影響力を与えたスペインの画家、ジョアン・ミロ《絵画》(1952年)などの新収蔵作品も展示しており、こちらも必見です。

セクション7:「デュシャンとニューヨーク」

「デュシャンとニューヨーク」のセクションでは、コンセプチュアルアートの先駆者であるマルセル・デュシャンや、彫刻家のイサム・ノグチの作品がお目見えしました。

マルセル・デュシャン《「マルセル・デュシャンあるいはローズ・セラヴィの、または、による(トランクの箱)」シリーズB》(1952年、1946年)石橋財団アーティゾン美術館蔵 © Association Marcel Duchamp / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2020 C3376

注目は、デュシャンの代表作のひとつ《トランクの箱》シリーズ。自身の作品などのミニチュアを小さなトランクに収めたもので、収蔵されたエディションには、彼の愛人であるマリア・マルティンスをモデルにした素描が箱の裏に収められています。

セクション10:「オーストラリア美術-アボリジナル・アート」

近年、オーストラリアの現代美術も積極的に収集している石橋財団。「オーストラリア美術-アボリジナル・アート」のセクションには、何万年も前から芸術活動を通して文化と伝統を今に受け継いできた先住民の作家たちによる“アボリジナル・アート”が登場しました。

注目作は、絵画の伝統と革新性の双方を感じさせる、ジンジャー・ライリィ・マンドゥワラワラ(1936頃~2002)の《四人の射手》(写真左から二番目の作品)。欧米絵画や日本画とは一味違った、“素朴さ”だけに留まらない視覚的芸術性の高さも魅力です。

 

セクション:「アンリ・マティスの素描」

「アンリ・マティスの素描」のセクションでは、新たにコレクションに加わった4点のドローイング(素描)を展示。

マティスの孫娘がモデルとなった《ジャッキー》(1947年)は、太く勢いのある筆使いから目が離せなくなります。シンプルな絵ですが、マティスの飽くなき探究心や自由な感情が伝わってくるかのようです。

以上、駆け足でしたが、旧ブリヂストン美術館のDNAを受け継ぎ、“都心にある中で親しみやすい美術館施設を目指した”という、アーティゾン美術館の新しい収蔵品たちのご紹介でした。今後の展示会で出会えるのがいまから楽しみです。

「マリノ・マリーニの彫刻と版画」

特集コーナー展示では2021年9月5日まで、「マリノ・マリーニの彫刻と版画」を開催。マリノ・マリーニ(1901~1980)は、20世紀に活躍したイタリアを代表する彫刻家で、イタリア版画協会の名誉会員となるなど、数多くの版画作品も残しました。

写真右:《騎士》(1952年)石橋財団アーティゾン美術館蔵 ©SIAE, Roma & JASPAR, Tokyo, 2021 C3493

所蔵する合計71点のマリーニの作品のうち、今回は彫刻や版画25点をセレクト。馬と騎手をモチーフにした作品で知られるマリーニですが、1952年に制作されたブロンズ像の《騎士》や、リトグラフの《緑の背景の騎手》などが見どころとなっています。

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