北斎の晩年に迫る!今秋、あべのハルカス美術館で「北斎-富士を超えて-」が開催

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特別展「北斎-富士を超えて-」が、大阪市阿倍野区のあべのハルカス美術館で、2017年10月6日(金)~11月19日(日)まで開催されます。葛飾北斎の晩年30年間に描いた作品と人生に焦点を当て、北斎が追い求めた美の世界に迫る展覧会です。また、近年注目度の高まっている北斎の娘・応為(おうい)の作品も登場するので、こちらも見逃せません。

北斎の晩年にフォーカス!特別展「北斎-富士を超えて-」が大阪で開催!

《富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》    天保元~4年(1830~33)頃    大英博物館
© The Trustees of the British Museum. Acquired with the assistance of the Art Fund.

あべのハルカス16階にある美術館・あべのハルカス美術館で、江戸時代後期の浮世絵師として世界にその名が知られる葛飾北斎の展覧会「北斎―富士を超えて-」が開催されます。会期は、2017年10月6日(金)~11月19日(日)まで。

本展はイギリス・大英博物館との国際共同プロジェクトによるもので、北斎研究の第一人者である、あべのハルカス美術館館長・浅野秀剛氏と、大英博物館の北斎研究者とが協力して実現した企画です。

《雲龍図》    嘉永2年(1849)    ギメ美術館    
Photo ©Musée Guimet, Paris, Dist. RMN-Grand Palais / Thierry Ollivier / distributed by AMF

稀代の浮世絵師・葛飾北斎。彼の作品「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」は、英名「Great Wave」として海外でも広く知られ、世界でもっとも有名な絵の1つに数えられています。このような作品を描いた北斎は、いったいどのような人物だったのか。今回は、これまで行われてきた画業全般を辿る北斎展とは異なり、晩年30年に焦点を当てているのが最大の特徴です。肉筆画を中心とした約200点を紹介すると共に、北斎の精神性や人物像に迫ります。

本展の特徴

《雨中の虎図》   嘉永2年(1849)   太田記念美術館

大英博物館国際共同プロジェクト

大英博物館では、2017年5月25日(木)~8月13日(日)まで、70年ぶりとなる「Hokusai-beyond the Great Wave」が開催されます。世界各国で所蔵されている北斎の作品が、大英博物館とあべのハルカス美術館に集結。2020年に東京オリンピック、パラリンピックを控えた今、世界が日本の北斎に再び注目しています。

晩年の30年にフォーカス!北斎の人となりに迫る

「70歳までに描いたものは取るに足らない」など、北斎が晩年に掛けた信念を伝える言葉は少なくありません。70歳を過ぎて「富嶽三十六景」を完成させた後、さらに精力的に作品を生み出しました。
今回は、そんな北斎晩年の30年間に焦点を当て、神の領域に至るべく描き続けた、画狂老人・北斎の人となりに迫ります。

肉筆画約60点を中心に約200点が展示!

北斎の妥協のない筆遣いがそのまま伝わるのは、やはり肉筆画です。版画とは異なり肉筆画は1点もの。北斎の技量や色彩感覚をそのまま感得できます。森羅万象を描き続けた北斎の1点1点をじっくりと鑑賞してください。

見どころをご紹介!

代表作「富嶽三十六景」の展示

《富嶽三十六景 凱風快晴》    天保元~4年(1830~33)頃    大英博物館
  © The Trustees of the British Museum. 

新たに日本のパスポートの顔となる北斎の代表作「富嶽三十六景」。北斎にとって富士山とは大自然の象徴でもあり、超絶なるのものの象徴でした。すなわち、崇高なる神であり、超えるべき目標でもあったのです。そして、いつしか北斎は、富士山に自分自身の人生を重ねていたように思われます。

1820年後半、妻の死や、自身の病気、孫の逸脱行為による経済的困窮など、様々な苦境を乗り越えてきた北斎にとって、「富嶽三十六景」シリーズは、画家としてのキャリアを復活させるきっかけとなった大切な作品。その連作の中から、「Great Wave」として海外でも人気が高い「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」や、赤富士を描いた「富嶽三十六景 凱風快晴」、「凱風快晴」とペアになる「富嶽三十六景 山下白雨」などが展示されます。

神の領域への軌跡を辿る!

《花見》    文政7~9年(1824~26)頃    ライデン国立民族学博物館  
 © Collection National Museum van Wereldculturen. RV-1-4482-m

19歳で浮世絵師・勝川春章の門下となった北斎は、「春朗(しゅんろう)」という名を貰い、翌年、 役者絵「瀬川菊之丞 正宗娘おれん」でデビューしました。それから70年、神の領域を目指し、邁進する北斎の苦難の道を作品と共に辿ります。

美人画、浮絵、黄表紙や洒落本などを発表して、一流絵師になろうと努力を重ねますが、春章の没後、俵屋宗理と改名し、勝川派を離脱。その後は、狩野派、琳派などの流派にはとどまらず、中国画や銅板、油彩、西洋画を積極的に取り入れていきました。

《雪中張飛図》   天保14年(1843)頃   氏家浮世絵コレクション

その後、肉筆画にも力を入れるようになり、70歳になってからは、「富嶽三十六景」や「諸国滝廻り」に代表される風景版画シリーズを発表。そして、75歳で、画狂老人(がきょうろうじん)と改名。以降、90歳で没すまで、肉筆画、絵画、手絵本を中心に画業を展開しました。

北斎の波の集大成!「濤図」

《上町祭屋台天井絵「濤図」》   弘化2年(1845)   小布施町上町自治会

小布施北斎館から小布施の祭屋台の天井絵として描かれた「濤図」も展示されます。小布施の豪商・高井鴻山の招きで、娘・応為と共に小布施に旅行し、小布施の祭屋台の天井絵として一対の「濤図」を描きました。この時、北斎は実に86歳。

《鳳凰図天井絵彩色下絵》   弘化3年(1846)頃   小布施町・岩松院

北斎は「富嶽三十六景」を完成させる前から、波の描き方を研究しており、「濤図」は北斎の波の集大成とも言える作品です。この2枚を並べると、道教の陰陽を対比させた「太極図」が浮かび上がって見えます。道教の教えで、全ての根源を意味する「太極」。北斎は、波だけでなく、宇宙の成り立ちも描こうとしていたのではないでしょうか。

88歳から90歳までに描かれた数々の肉筆画が登場!

《雪中虎図》   嘉永2年(1849)   個人

北斎晩年の作品では、龍や獅子、鷹などの生き物、さらに、力強いエネルギーに溢れた伝説上の人物や聖人が生き生きと描き出されており、北斎が信仰と芸術の崇高な領域に達したことが今に伝えられています。

《富士越龍図》   嘉永2年(1849)   北斎館

また、北斎は亡くなる直前に、「天があと5年命をくれたなら、真正の絵師になれただろうに」という言葉を残したと言われています。死を目の前にしながらも、画家としての道を邁進し、理想を追求し続けた北斎。

彼が目指した神の領域とは何だったのか、富士を越えて天へ昇っていく龍を描いた「富士越龍図」や「雪中虎図」など、晩年に手掛けられた肉筆画を通して、北斎の心象風景をじっくりと読み解いていきましょう。

北斎の娘・応為の作品にも注目!

北斎に「美人画にかけては応為には敵わない」と言わせたほどの力量を持っていた伝えられる、北斎の三女・応為。応為の肉筆画は少なく、推定作を含めても10点も現存しない貴重な作品です。

今回、この特別展のため、東京国立博物館の「月下砧打ち美人図」、クリーブランド美術館の「関羽割臂図」、太田記念美術館の「吉原格子先図」が展示されます。色彩の豊かさや鮮やかさ、女性ならではの細やかさを楽しんでみてください。

北斎が追い求めた美の世界に迫る展覧会に、お出かけしてみてはいかがでしょうか。

イベント詳細
名称:大英博物館国際共同プロジェクト「北斎-富士を超えて-」
会場:あべのハルカス美術館
住所:大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階
会期:2017年10月6日(金)~11月19日(日)
休館日:10月10日(火)、16日(月)、23日(月)、30日(月)、31日(火)
開館時間:火~金 10:00~20:00、月・土・日・祝 10:00~18:00
※いずれも入館は閉館の30分前まで。
料金:一般 1,500(1,300)円、大学・高校生 1,000(800)円、中学・小学生 500(300)円
※()内は前売りと15名以上の団体料金。
※障がい者手帳を持つ方は、本人と付き添い1名まで当日料金の半額。
※前売券は7月29日(土)~10月5日(木)まで販売予定。
公式サイト:http://hokusai2017.com/

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