東京都現代美術館を徹底取材!展覧会情報やレストラン&カフェの情報まで【2021年版】

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国内外の現代アート作品を幅広く収蔵・展示する「東京都現代美術館」。緑豊かな江東区・木場公園に隣接する現代アートの殿堂をご紹介します。
 

東京都現代美術館とは?

東京府美術館(現・東京都美術館)の現代美術のコレクションを引き継ぎ、1995年3月に開館した東京都現代美術館(MOT = MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO)。

東京都立木場公園の北側に面しているので、散策と合わせて楽しめます

 

緑豊かな木場公園の中に建てられ、美術館建築としては日本最大級の延床面積を持っています。

広々とした展示室でゆったりと現代美術作品を鑑賞できます。写真は2021年10月17日(日)まで開催される『Journals 日々、記す』の様子。

コレクションは第二次大戦後の作品を中心に収集。2016年に改装のため一時休館しましたが、2019年のリニューアル・オープンまでに約400点を新たに収蔵し、現在の総コレクション数は約5,500点にも及びます。

奥行き約140mの開放感溢れるエントランスでは、ファッションショーなどのイベントが開催されることも

今後活躍が期待される若手作家の作品を丁寧に収集しているのも大きな特徴で、現代美術の振興と、芸術文化の基盤を充実させる役割も担っています。

敷地内には体験型インスタレーションも設置。サウンド・アーティスト・鈴木 昭男≪道草のすすめ―「点 音(おとだて)」and “no zo mi”≫(2018〜2019年) Photo: Kenta Hasegawa

敷地内には、数々の芸術作品やインスタレーションも設置されるなど、展示だけでなく施設全体もがアートといえる空間なのです。

横尾忠則の企画展をハイライトでご紹介!

「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」

会期:2021年7月17日(土)~10月17日(日)

2021年10月17日まで開催されている企画展は、1960年代から現在まで、常にアートの最前線で活躍し続けている横尾忠則の「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」。

自ら総監修を手掛けており、絵画を中心に初期のグラフィック作品など、今年2021年に描かれた新作を含め600点以上を網羅するという画期的な展覧会となっています。「神話の森へ」「多元宇宙論」など、15のセクションで構成されている本展覧会の見どころを紹介します。
 

神話の森へ

写真左から《画家の自画像》1982年 富山県美術館蔵、《ディナーパーティーの話題》1982年 国立国際美術館蔵、《ロンドンの四日間》1982年 大原美術館蔵

1960年代からイラストレーター、グラフィック・デザイナーとして活躍していた横尾。最初のセクション「神話の森へ」では、ニューヨーク近代美術館で観たピカソ展をきっかけに、絵画へと活動領域を広げた1980年代の作品を紹介しています。

《戦後》1985年 公益財団法人アルカンシエール美術財団/原美術館コレクション

横尾の絵画への転身は「画家宣言」と評されました。本セクションでは、絵画の身体性を追求した作品や、日本の神話に題材を求めたもの、鏡や動物の骨とのコラージュなどを通し、当時の試行錯誤を一望することができます。

 

多元宇宙論

カンヴァスを重ねた「カンヴァス・オン・カンヴァス」など、“多次元絵画”と呼ばれる手法による作品を集めたセクション。美術の歴史や映画など、様々なアート作品から引用されたイメージが組み合わされたコラージュとなっています。

ベラスケスの傑作《ラス・メニーナス》のイメージと滝をコラージュした《集合と分散-その力の働き》1991年 作家蔵(東京都現代美術館寄託)

映画のような物語性や時間性を感じさせるこれらの作品は、横尾自身のポストモダン絵画の到達点と考えられています。この後に横尾の関心は、夢やインスピレーションなど、自分自身の深層へと広がっていきます。

リメイク/リモデル

写真左から《自画像のある風景》1966年 成瀬蔦枝、《金歯》1966年 永井一正、《歯磨き》1966年 東京都現代美術館蔵 など、「ピンク・ガールズ」と呼ばれるシリーズも展示
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自身の作品を繰り返しリメイク(=反復)する手法は、横尾の画風の大きな特徴のひとつ。ドキッとするような女性たちの絵は、1966年に発表された「ピンク・ガールズ」と呼ばれるシリーズ。彼女らのモチーフは、2000年代以降の作品にも数多く登場します。

アンリ・ルソーの作品にしばしば登場するライオンを引用した《ライオンと緑の月》1996年 作家蔵(横尾忠則現代美術館寄託)

19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したフランスの画家、アンリ・ルソーの作品も、横尾の独創的な「変換」によって、リメイクされています。

越境するグラフィック

今回の企画展には、グラフィック・デザイナー時代の作品も登場。横尾のグラフィック作品は、1967年にニューヨーク近代美術館に収蔵されるなど、世界的に高い評価を受けています。

注目は、寺山修司が主催した劇団・天井桟敷の《毛皮のマリー》や、唐十郎の劇団状況劇場の《腰巻お仙》など、1960年代を彩った舞台芸術のために制作されたポスター。鮮やかな作品からは目が離せません。

滝のインスタレーション

横尾は滝の絵画を制作する際、資料として世界中の滝の絵はがきを集め、その数は1万枚を超えてしまったのだとか。《滝のインスタレーション》は、神秘的な力を感じた大量の絵葉書を「供養」するために制作された作品です。

壁面はもちろん、天井にまで貼り込まれた絵葉書の1枚1枚は水しぶきのようで、その姿は鏡面の床にも映り込みます。圧倒的な滝のイメージに包まれると、そこにいるだけで気持ちが浄化されていくかのようです。

死者の書

精神世界へ強い関心を持つ横尾は、「死」をテーマに多くの作品を生み出しています。深紅の部屋に出現した「死者の書」のセクションでは、郷里の兵庫で過ごした少年時代の思い出や、戦争の記憶などに関連している作品を紹介しています。

《アマデウス369》1997年 個人蔵

死を暗示した作品だけでなく、弥勒菩薩とモーツァルトをモチーフに取り入れたと考えられる《アマデウス369》からは、死を超えた輪廻転生をも表現していることが伺えます。

Y字路にて

写真右の《アストラルタウン》2008年 作家蔵(横尾忠則現代美術館寄託)をはじめ、様々な「Y字路」モチーフの作品を展示

分かれ道の狭間に建物が佇む「Y字路」の風景は、2000年代から横尾が頻繁に取り上げているモチーフです。

《宮崎の夜―台風前夜》2004年 作家蔵

「Y字路」は、少年時代に通った模型店が取り壊された写真をきっかけに生まれたシリーズ。人生の分かれ道を暗示するY字路を画面の中央付近に据え、様々な表情で描くことで横尾は、画家として新たな領域に踏み出したと考えられています。

 

タマへのレクイエム

15年間暮らした愛猫のタマを描いた作品を紹介するセクション。タマが亡くなった2014年から描かれている連作は《タマ、帰っておいで》と名付けられ、横尾と暮らすまでは野良猫だったタマへの深い愛情が伝わってきます。

 

WITH CORONA(WITHOUT CORONA)

新型コロナウイルスの感染が拡がった2020年5月、横尾は自身の作品にニュース映像やマスクをコラージュした《WITH CORONA》を制作。ツイッターやブログなどで公開されました。

2021年4月にはタイトルを《WITHOUT CORONA》と変更。作品数は700点にもおよび、現在でも増え続けています。

今回紹介した作品のほか、コロナ禍の中アトリエにこもって制作した新作も多数展示しています。「まずは絵を見ること。絵が語りかける様子を感じ、一つひとつの絵と対峙して欲しい」と、オープニングで語った横尾の生み出す感動をぜひ体験してください。

 

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