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奇跡の船「宗谷」

「宗谷」は初代南極観測船として、1956年から1962年まで6次にわたる南極観測に従事した船です。約40年に渡る船歴は波瀾万丈。民間貨物船として運行した後、日本海軍の特務艦として太平洋戦争に参加。戦後は引揚船、海上保安庁の灯台補給船などの役割を経て、初代南極観測船に抜擢されます。大規模な改修をした後、計6回の南極観測の航行をしました。南極に取り残されて生き延びた「南極物語」のタロとジロのストーリーは、1957年から1958年に行われた第2次南極観測と、1958年から1959年にかけての第3次南極観測で実際にあったエピソードを基にしています。

1965年に二代目南極観測船「ふじ」にその役目を譲ってからは、海上保安庁の巡視船として海の安全を守る任務につき、流氷調査や海上保安官の教育船としての活動も行いました。1978年に退役するまで、海難救助出動では合計125隻の海難船を救助し、1000名以上の救出実績をあげました。
1979年より「船の科学館」前に係留され、保存展示されています。

宗谷乗船見学入口。入場料は無料ですが、船体を保存整備するための協力金を募っています。

見学コースを歩きます。

両舷は「バルジ」と呼ばれる二重外板構造になっています。これは、「宗谷」が南極観測船に採用されることが決まった際に、船体を改造して取り付けたものです。

順路に沿って見学していきます。

船内の各部屋は、当時の調度品がそのまま保存展示されています。この部屋は、「士官食堂」です。

「通信室」の機器。ダイヤルやスイッチのデザインなど、レトロな昭和の懐かしい感じがします。

大型のヘリコプターも離発着できる「ヘリコプター発着甲板」。第3次南極観測当時は、ヘリコプター4機と航空機1機を搭載していたとのこと。

船の操縦を行う「操舵室」にも入れます。

週末や休日など、不定期にボランティアガイドの方が説明してくれます。この方はなんと、南極観測に第1次、第2次、第3次と参加した磯貝さん。海上保安庁を定年退職した後、ボランティアとして月に1回程度こうして南極観測船についてご自身の体験を交えて伝えているそうです。

船内には、「展示室」もあり、南極観測に関する資料や映像が公開されています。

船内の部屋には、当時の服装をしたマネキンも展示されています。

「宗谷」の船内の様子は、「船の科学館」の公式サイトから見ることもできます。「360度パノラマ体験」では、普段は入れないエンジンルームなども含め、バーチャルツアーを体験できます。他にも、公式サイトには「ドローンによる空撮動画」や「電子書籍で見る宗谷」などのコンテンツ、さらに収蔵資料を検索できる「収蔵資料検索システム」もあり、豊富な情報を提供しています。

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