屋外でアート鑑賞できる美術館!「彫刻の森美術館」の見どころや親子で楽しめる体験型アートを紹介

あそびのジャンル
美術館
タグ

箱根に位置する「彫刻の森美術館」は、7万平方メートルもの広大な彫刻庭園をもつ日本初の屋外美術館です。魅力はなんといっても、小さな子どもから大人まで家族みんなで楽しめる作品が豊富にあること。ピカソの作品を堪能できる「ピカソ館」や、触れて遊べるアート「ネットの森」、ステンドグラスのタワーに入って登れる「幸せをよぶシンフォニー彫刻」など、ユニークな芸術作品が豊富にあります。今回は実際に彫刻の森美術館を訪れて、特徴や見どころの数々を探ってきました!

彫刻の森美術館とは?

彫刻の森美術館は、国内初の屋外美術館として1969(昭和44)年にオープンしました。約7万平方メートルもの緑豊かな庭園には、近現代を代表する彫刻家の名作約120点が常設展示されており、親子で散歩しながらアート鑑賞を楽しめます。ピカソやロダンなどの作品を収蔵する「ピカソ館」や、子ども向けの体験型アート遊具があり、幅広い年齢層の人が芸術に触れられる美術館です。

彫刻の森というだけあり、庭園には巨大な彫刻やユニークな芸術作品が数多く点在しています。開放的な自然の空間にポツンとたたずむ彫刻や、箱根の自然と調和した作品など、屋外美術館ならでは風景や遊び方と出会えるのが最大の魅力です。

庭園内のさまざまな場所にベンチがあるので、彫刻巡りに疲れたときも安心。新館インフォメーションでは無料ベビーカーの貸し出しが行われているので、小さなお子さんを連れて行く場合はこちらを利用しましょう。

 

彫刻の森美術館の見どころは?人気の常設展の楽しみ方を紹介

それではさっそく、彫刻の森美術館の展示を巡ってみましょう。まずは定番の常設展示作品の中から、とくに人気が高い展示エリアを紹介します。

 

・迫力満点!ダイナミックな彫刻と出合える「野外彫刻」

彫刻の森美術館でまず見ておきたいのが、庭園の各地に点在する野外彫刻。見上げるほど巨大な彫刻から一緒に記念撮影できるミニサイズの彫刻まで、実に多彩な彫刻が並んでいます。訪れた日はたくさんのお客さんが彫刻と同じポーズを撮りながら記念撮影を楽しんでいました。

写真の作品は、フランスのニキ・ド・サン・ファール(1930~2002)作『ミス・ブラック・パワー』。女性を賛美する象徴である〈ナナ〉シリーズのひとつです。独特な配色が目を引く巨大な姿を間近で見て、ぜひ作品のパワーを感じてください。

建物の壁に沿って展示されているこちらの作品は、フランスのジャン・デュビュッフェ(1901~1985)作『アルボレサンス』。フランス語で「樹木状の」という意味を持つ不思議な作品で、あらゆる形態が無限に繋がり続け、終わりがないことを表しています。

まるで飛行機のプロペラのように見える作品は、日本の彫刻家・新宮晋(しんぐうすすむ)作『終わりのない対話』。風が吹くとくるくると回る作品です。自然エネルギーを感じられる作品で、風が強い日には力強く回り続ける姿が見られます。

野外彫刻はあらゆる場所に目線を移して楽しめるのもポイント!空を見上げないと見つけられない作品が、スウェーデンのカール・スミス(1875~1955)作『人とペガサス』。彫刻の森美術館に入場し、トンネルをくぐってすぐの円形広場にあります。とても高い塔の上にあるので、ぜひ姿を探してみてくださいね。

2匹のうさぎが戦っているように見えるこちらの作品は、イギリスのバリーフラナガン(1941~2009)作『ボクシングをする二匹のうさぎ』。ヨーロッパの寓話によく登場する野うさぎが互いに向き合って、十字架の上でボクシングをしている様子を彫刻にしたものです。

遊んでいるのか、戦っているのか、どちらにも見えるユニークな作品。想像力を膨らませる不思議な彫刻もたくさんあるので、子どもと一緒にクイズを出し合って遊ぶのも楽しそうです。

箱根登山鉄道の車窓からちらっと見えた奇抜な作品は、後藤良二作『交叉する空間構造』。よく見ると一つひとつのパーツはすべて「人間」になっています。たくさんの男性と女性が両手両足を支えあって、ひとつの作品を作り上げているのが特徴。人と人がお互いに関係しあって社会を作り上げているという、強いエネルギーとメッセージが感じられる作品です。

このほかにも多種多様な野外彫刻が点在しているので、ぜひ気になるエリアを巡ってみてください。

 

・ピカソの名作を思う存分堪能できる「ピカソ・コレクション(ピカソ館)」

「ピカソ館」は彫刻の森美術館を代表する人気スポットのひとつ。野外彫刻エリアでは珍しい屋内美術館であり、1984(昭和59)年の開館以来、約319点ものピカソ作品を展示しています。

2019年7月から大幅リニューアルが行われ、さらに魅力的な作品を鑑賞できるようになりました。現在はピカソの主題・技法・制作年にまつわるテーマが多く、作品の芸術性だけでなくピカソの作風にも迫れる展示を見られます。

館内にはピカソの名作をはじめ、貴重なコレクションがずらり!作品は全17のテーマに分類され、時間軸にとらわれない自由で自然な展示空間を楽しめます。

 

・自然と調和する巨大彫刻が美しい!「ムーア・コレクション」

『ふたつに分けられた横たわる像:ポインツ』(1959年)

数ある野外彫刻の中でもひときわ目を引くのが、ヘンリー・ムーアが手掛けた彫刻コレクション。ヘンリー・ムーアは、抽象的なフォルムや有機的な形状を特徴とした作品で世界的に知られている、20世紀を代表するイギリスの彫刻家。彫刻の森美術館の展示エリアには、ヘンリー・ムーアの作品がいくつも展示されています。

『母と子:台座』

ヘンリー・ムーアの作品は、自然と調和した環境の中で鑑賞することで、より一層美しさが引き立つのが大きな特徴。広大な芝生と樹木に囲まれた場所にたたずむ彫刻をぜひ巡ってみてください。

 

遊びながらアートに触れる!彫刻の森美術館の体験型スポットを紹介

彫刻の森美術館には、実際に触れて・遊んで体験できる作品が数多くあります。アスレチックのように遊べるものから、不思議な写真が撮れるフォトスポットまで種類はさまざま!子どもと一緒に楽しめる体験型作品やアートイベントを紹介します。

 

・飛んだり跳ねたり自由に遊べる「ネットの森」

『ネットの森』は、子どもたちが実際にアートの中に入って遊べる作品です。外観はいくつもの木材を互い違いに重ねて作られており、細部に職人技や芸術性の高さが感じられます。

内部には色とりどりのネットで作られた巨大なハンモック状のアートがあり、実際に中に入って登ったり、跳ねたり、ボールを動かしたりと、思う存分ネット遊びを楽しめます。

カラフルなネットと独特な造形は、色彩感覚・造形感覚を学ぶのにもぴったり!身体を動かして遊びながらアートな感性も育てられる、屋外作品の中でも高い人気を誇る作品です。

 

・塔を覆うステンドグラスの美しさは圧巻!「幸せをよぶシンフォニー彫刻」

高い塔の壁部分がすべてステンドグラスで彩られた『幸せをよぶシンフォニー彫刻』。こちらもアートの中に入って遊べる体験型の作品です。18mの高さと8mの内径がある大きな塔で、3cmほどの厚さのガラスを手作業で割った破片で作られたステンドグラスで覆われています。

入口まで続く足型に沿って階段まで向かいましょう。二重螺旋構造の階段は一方通行で、一度登り始めたら戻ることはできません。それでは、彫刻作品の内部を少し覗いてみましょう。

壁面すべてがステンドグラスで覆われた内部は圧巻の美しさ!きめ細かくてカラフルな模様からはさまざまな色の光が差し込み、不思議な世界に迷い込んだかのような雰囲気を味わえます。

ステンドグラスの模様にはそれぞれ意味があるのもポイント!こちらは星と太陽、雪の結晶をモチーフにしたものが描かれています。階段を登りながら、ぜひ星や女神を探してみてくださいね。

階段を上がった先には展望台があり、彫刻の森美術館の全景と、周囲に広がる箱根の山並みが一望できます。晴れた日はとても美しい景色を見られるので、記念撮影をお忘れなく!

 

・不思議な写真を撮りたいならココ!「目玉焼きベンチ」

野外彫刻の中には、気軽に休憩できるスポットがたくさんあります。大きな目玉焼きのような形のベンチ「サニーサイドアップ」もそのひとつ!

目玉焼き型ベンチは大小2タイプ。普通に座って休憩するのはもちろん、寝そべったり、乗って遊んだり、記念撮影したりと、多彩な使い方ができるのが魅力です。

 

360度どこから見ても宙に浮いて見える「浮かぶ彫刻」

池に浮かぶこの彫刻は、ハンガリーのマルタ・パン(1923~2008)作『浮かぶ彫刻3』。池に沈むのでもなく、立っているでもなく、まさに“浮かんでいる”ような状態に見えるのが特徴です。

もちろん、本当は池の底に固定されていますが、設置部品の影や器材は彫刻で隠され、見られなくなっています。水面に反射する上下対称の彫刻美も見事で、ずっと見ていたくなる不思議なアート作品です。

周辺は散策路のようになっていて、あらゆる角度から池に浮かぶ彫刻を眺められるのも見どころ。緑と池、彫刻を一枚に収められることから、撮影スポットとしても親しまれています。

ここでの人気イベントは「鯉の餌やり体験」でした。しかしあまりの人気っぷりに池の鯉たちが餌を食べ過ぎてしまい、2023年3月現在は休止中とのこと。鯉たちはダイエットの真っ最中なので、再開を楽しみに待ちましょう!

 

・子どもと一緒に迷路を攻略!「星の庭」

『星の庭』は、上から見ると全体が星の形をしている体験型アート。実際に中に入って迷路として遊べます。入口は少し狭くて、まるで別の世界へと導かれるような雰囲気。迷路の世界へと一気に没入できます。

年齢を問わず誰でも楽しめるちょうど良い難易度なので、子どもの知的好奇心を育てるのにもぴったり!迷路を進むドキドキ感、知っている人を見つけたときの感動を、ぜひ実際に体験して味わってくださいね。

 

・斜面に作られた憩いの遊び場「ポケっと」

彫刻の森美術館の入口にあるトンネルをくぐって円形広場に出ると、ちょっと目を引く看板が見えてきます。この先には、山の斜面を利用して作られた憩いの場『ポケっと』があります。

芝生が広がる山の斜面には、多彩な色・形のシリコン製チェアベッドがずらり。大人数でゆったり座れるチェアから一人でのんびりできるタイプのチェアまで、さまざまな種類があります。子ども用のアスレチックも充実しているので、休憩と遊びどちらでも活用できますよ!

坂の下には、アメリカの彫刻家、イサム・ノグチの代表的な彫刻アート『オクテトラ』があります。おしゃれなジャングルジムのような見た目の作品で、大きめの穴から中に入ったり、上に登ったりと、遊具のように遊ぶことも可能。彫刻作品として鑑賞するもよし、子どもと中に入って遊ぶもよし!2通りの楽しみ方ができる体験型アートです。

こちらの作品は、松原成夫が手掛けた『宇宙的色彩空間』。赤、黄、緑、青と12色のグラデーションで変化する正方形は、全部でひとつの小宇宙を表現しているのだとか。触れる・登る・くぐるなど、アイデア次第でさまざまな遊び方を試せる体験型アートです。

正方形の中をくぐって遊べるのはもちろん、入口側からはさまざまな色が重なる美しい写真を撮影できます。「ポケっと」にはほかにも楽しい遊具や彫刻があるので、天気の良い日にはぜひ足を運んでみてください。

・自分自身が彫刻に大変身?!「彫刻スタジオ」

館内にある「マルチホール」は、彫刻が完成するまでの制作過程や作家の思いなど、身の周りのちょっとしたアイデアやヒントが形になる様子を学べる展示スペース。ヘンリー・ムーアが大型作品を作る前の「原型」(ワーキングモデル)の展示や、ブロンズ彫刻ができるまでの過程が一つひとつ解説されたコーナーなど、彫刻制作の裏側を学べる貴重な展示がたくさん並んでいます。

ここでぜひ体験したい展示は、自分自身が彫刻になれる「彫刻スタジオ」。ディスプレイの前に立って撮影することで、なんと自分そっくりの彫刻が壁面の大型スクリーンに展示されるのです!

やり方はとても簡単。オレンジの立て札がある場所にスクリーンを備えたカメラが設置されているので、定位置に立って撮影しましょう。

撮影したら裏側の大型スクリーンを見てみましょう。自分の顔がさまざまな彫刻作品となって仮想の屋外展示場に登場します。

季節や天候の変化によって、彫刻の見え方が変わっていくのも楽しいところ!刃物や工具を使用しない安全・手軽な体験なので、まだ小さなお子さんと一緒に遊ぶのにもぴったりです。自分自身が作品になれる体験型アートをぜひ楽しんでください。

前の記事へ 次の記事へ
この記事を友だちにシェアする

おすすめ特集

アソビュー!公式SNS