【読みもの】紙は神に通じる / 和紙に宿る日本の心

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紙漉き体験
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「紙は神に通じる」。少し前の話ですが、日本を代表する和紙作家さんにこの言葉を聞いた瞬間、和紙への興味が大きく膨らみました。さっそく「紙漉き体験」に申し込んで数枚のハガキを制作。メールやLINEのおかげで気軽にメッセージを送れるようになった今の時代だからこそ、とっておきの気持ちはこの和紙に運んでもらうようにしています。(文:はらだいち / アソビュー編集長)

日本の白い紙は、神に通じる

白い紙には「浄化する力」があると、日本人は信じてきました。例えば祝儀袋やのし紙、鏡餅の下に敷く一枚の紙もそう。神聖なものと現実の間にある境界線。私たち日本人は、白くて美しい紙に対してそんな精神性をもち、慣習として根付かせています。

戦後、洋紙が重宝されるようになり、またIT化によってペーパーレスが進むようになり、「記録するもの」としての和紙の価値は下がるいっぽうです。しかし、近ごろは記録媒体以外の使い道、例えばインテリアや建築に応用されるなど、和紙の価値が再発見されています。

「日本人としての心」といったら大袈裟かもしれませんが、そのようなものを忘れないようにするためには、和紙との接点をもち続けることかもしれない。「紙は神に通じる」という言葉を聞いて、自分なりにそう解釈をしたのです。

和紙と洋紙の違い

少しだけ紙に関するうんちくをお話させていただきます。洋紙は木を丸ごと粉砕し敷き詰めるようにして機械でつくりますが、和紙はコウゾなどの木の皮だけを使い、長い繊維を絡めながらつくり上げていくものです。

手漉き和紙の特徴は、破けにくいこと、穴が開きにくいこと、色あせないこと、使えば使うほど風合いが増すことなど。当然、つくるのに手間暇がかかるので値段は上がるのですが、「使い捨て品ではない」と考えると、決して高くない(むしろ、安くて驚いたほどです)と思います。

手漉き和紙の魅力は、「偶然」と「うつろい」です。長い繊維が絡み合って紙の表情となり、洋紙にはない個性と味わいを生んでいきます。

紙漉き体験

私が訪れたのは、「黒谷和紙会館」。現在のプラン(リンク先のもの)とは少し違うのですが、ハガキをつくる体験をしてきました。黒谷和紙会館は、和紙職人たちが仕事をする場所であり、若者が修行をする場であり、一般人が体験をする場であり、製品を購入できる場でもあるという、4つの機能がすべて詰まった珍しい場所です。なので体験はもちろん、和紙の製造過程を見られたのもいい経験になりました。

ここを訪れた時に驚いたのは、外国人旅行者の多さでした。とはいえ実はこのような現象は日本各地の「ものづくりの里」で起こっています。もはや日本のよさに気づいているのは、日本人ではなく、外国の方々なのかもしれません。なんだか少し悔しい気もするけれど。

写真はプラン「黒谷和紙の和綴じ本(御朱印帳)作り」からの引用

紙を漉いていると気分が落ち着いてきます。建物内には紙の製造過程で生じるいろいろな音が鳴り響いているのに、不思議と心はとても静かに、穏やかになります。

紙は神に通じる。

和紙に興味をもつきっかけになったあの言葉を再び思い出します。

こちらが私がつくったハガキと、そこで購入し、愛用している和紙の名刺入れです。黒谷和紙の特徴はひと際丈夫なことで、バッグやクッションカバーも置かれていました。
 
実はこのテキストを書いている今日は、妻の誕生日。彼女に「おめでとう」のメッセージを書いたら、残るハガキはあと1枚。そろそろまた、紙を漉きに行かなければなりません。

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