鬱蒼とした樹海と真っ暗な洞窟を探検!命が芽生え、時が育む自然には発見がいっぱいでした【あそびチャレンジ#03 樹海&洞窟探検編】

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【あそびチャレンジ#03 樹海&洞窟探検編】

富士山の北西山麓に広がる青木ヶ原樹海。約1,200年前、富士山の噴火によって流れ出た溶岩の上に生まれた林で、国の天然記念物に指定されています。鬱蒼と木々が茂る樹海をトレッキングし、点在する溶岩洞穴を探検するのは、小学1年生の美晴(みはる)ちゃん。

「体を動かすことと動物が好きで、かけっこや木登りも大好き。毎日、近所の公園で遊んでいますが、本格的なアウトドアの体験は初めて」とお父さん。初めてのチャレンジに美晴ちゃんがどんな反応をするのか、ちょっぴり心配だったそう。でもそんな不安は杞憂でした。「早く行こうよ~! 洞窟楽しみ~」といいながら、待ち合わせ場所で、ぴょんぴょんジャンプをする美晴ちゃんを見て安心した様子です。

青木ヶ原樹海は、手つかずの自然の宝庫

青木ヶ原樹海は、溶岩が焼き尽くした荒れ野原から始まりました。溶岩の上に新しく木々が芽吹き、1,200年の時を経て、溶岩台地が現在の姿になったまだ若い森なのです。なんとその広さは、30平方キロメートル。東京ドーム約640個分、山手線の内側エリアがすっぽり入るほどの広大な森です。前日に雨が降った樹林は、木漏れ日が差し込んむとキラキラ輝いてとってもきれい!

「森の始まりは何だと思う?」とネイチャーガイドさん。「うーん、なんだろ?」と首をかしげる美晴ちゃんにガイドさんが教えてくれました。「それは苔なんだよ」。

樹海には多彩な苔類が生えています。「土がないゴツゴツした溶岩石の上にも生え、そこに小さな植物が生えて、木々が育ち、その木から落ちた葉で土が生まれたんだよ。ほら、苔の間に小さな芽が生えてきているでしょう。これが森の始まり。じゃあ、そおっと触ってみよう」とガイドさん。

「うわああ、フカフカしているよ。すごい、お父さんも触ってみて。これが小さな森なんだね、すごーい」と、小さな森と大きな森を何度も見比べて目を輝かせます。美晴ちゃんの楽しそうな表情にお父さんもにっこり。樹海内には遊歩道が整備され、ほとんど平坦なので小さな子どもでも安全にウォーキングを楽しめます。美晴ちゃんは、まったく疲れる様子もなく「気持ちいい~!」と、軽やかな足取りで、ときにスキップして全身で森歩きを満喫。

「あ、ここにきのこがあるよ!」と美晴ちゃんが指を差すところには、小さな小さなきのこが生えていました。大人より先にいろんな植物を見つける美晴ちゃんに、ガイドさんもお父さんもびっくり。

発見のたびに、「これなあに?」とガイドさんに質問攻め。「これはサルノコシカケ。森をきれいに浄化してくれる働きがあるんだよ」とガイドさんは、好奇心旺盛な美晴ちゃんのどんな質問にも優しく答えてくれます。ガイドさんも説明のしがいがあって、嬉しそう。

「ガイドさん、すごい! 何でも知ってる。まるで忍者みたい」と目をキラキラさせた美晴ちゃんは、それからずっとガイドさんのことを“忍者さん”と呼んでいました。

「忍者さーん! 鳥の声が聞こえるよ」と、動物が大好きな美晴ちゃんは鳥の声にすぐに反応しました。樹海には、キビタキ、シジュウカラ、ミソサザイ、ヤマガラ、コガラ、ヒガラ、ツグミ、ヒヨドリなど200種類を超える野鳥が生息しているそうです。生きものはほかにもリスやヒメネズミ、シカ、ツキノワグマも住んでいますが、明るいうちはめったに人の前に姿を現さないのだとか。

「クマは怖いけど、シカには会いたかったな~」と、ちょっぴり残念そうな美晴ちゃん。

「あ、忍者さん、かわいいものが落ちてるよ」と美晴ちゃんがしゃがんだ場所には、小さなエビフライのようなカタチをした植物が落ちていました。

「よく見つけたね~。これはリスが松ぼっくりを食べた後。カタチがエビフライに似ているので、“森のエビフライ”と呼ばれているんだよ」。

「ほんとだエビフライに似てる! お父さん、写真、撮って!」と、美晴ちゃんはせがみます。

そう、樹海では動物、植物、鉱物などの採取はNG。そして環境保全、植生保護のため、遊歩道から外れないで歩くことがお約束です。美晴ちゃんは、ガイドさんから教えられた注意点をちゃんと守るとってもしっかりさん。

青木ヶ原の樹海は、まだ若い森、つまり、まだまだ成長段階にある森なのです。それだけに日々、違う表情を見ることができるのが魅力なのだそう。澄んだ空気の中で生命の尊さを学ぶことができるのです。

真っ暗な天然の地下洞窟にチャレンジ!

樹海に入って30分ほど歩くと、いよいよ探検の舞台、富士風穴です。近づくと、地面にぽっかりと大きな穴が開いていていました。「うわぁ~、お父さん、おっきな穴が開いてるよ~。ねえ、忍者さん、これが洞窟なの?」と美晴ちゃん。

「洞窟はこの階段を降りた下だよ。下りられるかな?」とガイドさんの問いかけに「大丈夫! おもしろそう!」と大人の手を借りず、ひょいひょいと下りていく様は、まるで美晴ちゃんが忍者です。

ここは標高約1000m。この日は暑くもなく寒くもないちょうどいい気温でしたが、洞窟に向かうにつれ体感温度が下がり、8m下の風穴前に着く頃には、ひんやりとしてきました。「涼しいね~。気持ちいい~!」と美晴ちゃんはニッコニコ。

富士風穴は、富士山の爆発によって流れ出した溶岩流溶岩流で誕生した横穴式の洞穴。手すりや歩道が整備された観光洞窟ではない本物の火山洞窟で、国の天然記念物にも指定されているため、一般観光客が足を踏み入れることのできない天然の地下洞窟なのです。

もちろん中は真っ暗。風穴内は夏でも氷が張っていて、気温は0℃。それだけにヘルメットはもちろん、ヘッドライトや手袋など、ちゃんとした装備と注意が必要です。

「風穴の中は凍っている場所もあるので、絶対に走らない、ジャンプしない、そして何も持ち出さない持ち込まないことを約束してね。必ず溶岩につかまりながら、私の後に続いてきてください。真っ暗だけど大丈夫かな?」とガイドさん。「う~ん、ちょっと怖いけど、つららを見たいから行ってみたい!」と美晴ちゃんは勇気を出しました。

長さ230m以上、幅5~10m、天井は平均5mと大きな風穴ですが、溶岩に捕まりながら、次の足場を探りつつ足を運ばなければなりません。

背の高いお父さんは慎重に歩みを進めますが、小柄で身軽な美晴ちゃんは、コツをつかむと軽々と難所を超えていきます。富士北麓の洞穴の中で一番多くの氷を蔵する富士風穴には氷柱や、溶岩棚、縄状溶岩など、地上では見られない世界が広がっていました。

風穴中ほどの、溶岩が開けた場所に来ると、何や地面がキラキラと輝いています。「うわあ、きれい! ねえねえ、忍者さん、あれなあに?」と美晴ちゃん。「あれは氷の筍と書いて、氷筍(ひょうじゅん)。洞窟の天井から滴る水が床に落ちて、瞬時に凍りつく自然現象だよ。床から生えたタケノコみたいでしょ?」。

「いろんな大きさのタケノコがあるね。透明で、すごくきれい~」と、美晴ちゃんしばし氷筍をうっとり見つめていました。氷筍は時間をかけて少しずつ純度の高い氷に結晶するので、透明度が素晴らしいのです。

ヘッドライトの光が乱反射して、キラキラ輝く氷筍の群れに囲まれていると、ファンタジー映画の主人公になったような気分。

「まだ奥まで行けますがどうします?」とガイドさんがお父さんに尋ねると、お父さんより先に、美晴ちゃんが「行く!」と大きな声で答えます。「すごいねえ。奥まで行く子どもはめったにいないんだよ。うちの子は男の子だけど、怖がって行けなかったよ」と、ガイドさんは苦笑いしていました。

「だって、絶対につららが見たいんだもん!」とまだまだ元気いっぱいの美晴ちゃん。最深部にたどり着くと天井から大きな氷柱が何本も下がっていました。「わーい! つららだー。初めて見た! うれしい~」と興奮を隠しきれない様子に、ガイドさんもニコニコ。

昭和初期まで蚕の卵の貯蔵に使われていたという風穴は、天然の冷蔵庫でもあり内部は0℃。デコボコとした険しい道を全身を使って歩くので、体がポカポカと温まり、それほど寒さは感じません。出口に近づくと、暗闇からぱあっと陽の光が差し込み、なかなか幻想的。非日常のひと時を存分に味わえたのでした。

洞窟探検を終えるとおなかはペコペコです。樹齢400年以上のブナとミズナラの巨木帯でお昼ごはんをいただきました。木漏れ日を浴びながら食べるおにぎりは最高。この巨木帯には、変わったカタチをした木も多く、ヤマブドウのツルがグルグル巻いている木もありました。ヤマブドウのツルは、とても丈夫で太いツルはブランコにもなるのです。

さっそく美晴ちゃんもブランコに挑戦。「うわ~! 楽しい~。すごいすごい!」と大喜び。「まだ、乗るの? もういいんじゃない?」と、ブランコを押すお父さん。「やだー、まだ乗りたい。もっと高いところまで引っ張って」とお父さんに注文をつける美晴ちゃんは、最後まで元気いっぱいでした。

「片時もじっとしていなくて、元気すぎる娘です(笑)。動物や昆虫が好きなのですが、今回、きのこや植物にも興味を見せてくれたのが新しい発見。洞窟は、あんなに奥まで行けるとは思っていなかったのですが、怖がることなく歩けて頼もしく感じました。とにかく好奇心が旺盛で、いろんなものに興味を持つので、これからもっといろんな体験をさせてあげたいですね」とお父さん。

最初から最後までテンションマックスで楽しんだ美晴ちゃんは、帰りの車の中ではぐっすり。楽しかった外遊びの夢を見ているのかな? 

さて帰宅後、楽しかった洞窟探検の思い出を美晴ちゃんが絵にしてくれました。

1枚目は富士の樹海で見た森のシーンで、サルの腰掛けと大きなコブが付いていた印象的な木を“忍者さん”が説明してくれているシチュエーションを、2枚目は洞穴内で見た氷柱と洞穴の中のゴツゴツした岩を描いたそう。

「樹海はきのこをいっぱい見つけられたのがよかった。洞窟は全然怖くなかったよ! 暗いところも楽しかった。つららが見たかったので、見つけたときはうれしかった。また、行きたい。一番楽しかったのは、ヤマブドウのツルのブランコ!」と、美晴ちゃんは絵を描きながら興奮して(若干ドヤりながら)話していたそうです。

美晴ちゃんの新しい一面を見た、お父さんも嬉しかったようです。

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<文=永浜敬子 写真=宮川朋久>

※掲載されている情報は公開日のもので、最新の情報とは限りません。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。

※撮影のためモデルは一時的にマスクを外しています。

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